探し物は何ですか?
vsオレンジと今泉、茶番3部作の翌週。
その日、私は普段はあまりやらない業務をやっていて、
そこで必要なモノが出てきた。
普段使わない物なので私は持っていなかった。
Sさんに聞いたら、Sさんも昔は持っていたが
今は手元にないという。
なくても出来るけど、あったほうが
その業務に慣れていない私の中では
効率が良く進めやすいし、ミス防止にもつながる。
今ではあまり使う人は少ないような、
ちょっとレトロなモノだけど、
私も昭和レトロな人間なので
あったら便利だなーと感じた。
その案件は、まだ期限まで数日あったから、
家から持ってきて次の出勤日にやろうかなと思ってたら
Sさんが「あそこの備品にあったと思う。前に見たことある」
…備品。
それはKeiさんの席の真横と真後ろにあるキャビネット。
しかもウチのオフィス、ギチギチなレイアウトなので
真横の棚はKeiさんに「ちょっとすみません」とか
声かけないといけないような距離。
先週もあんなことあったし、
今この状況でKeiさんの近辺なんて行こうものなら
好奇心旺盛軍団に何を言われるかわからない。
でも仕事だしな。
個人的感情は抜きにするべきだし、
あんなくだらない人達のせいで、
自分の行動が制限されたり、業務に支障が出るのも
どうかと思う。
私が迷ってたら、Sさんが心情を察してくれたらしく
「私が見て来ようか?」
いやいや💦Sさんは今日中の仕事を抱えてる。
嫌な人たちがいるからって、いちいち避けてたり
他人を使うとか、それこそ小学生みたいだ。
私「いえ、今日は諦めます。家にあるんで今度持って来ます」
そのときKeiさんが席を立った。
私とSさんはキャビネットのほうを見ながら
話していたのでKeiさんの行動がすぐ分かった。
午後のこの時間、おそらくタバコだろう。
ビル1階の喫煙ルームまで行くので10分は戻ってこない。
↑
我ながらそこまで把握してるところがコワイ😅
思わず顔を見合わせる私とSさん。
Sさん「今チャンスじゃない?」
Keiさんがいないときに行けば、
さすがの好奇心旺盛軍団も文句は言わないだろう。
本当に棚に必要な物を取りに行ったと理解するはずだ。
私「行きます!」
私がKeiさん方面に行くと、好奇心旺盛軍団のメンバーが
何人かチラッと見た。
Keiさんの後ろの棚を開ける。
こっちにはお目当ての物はなかった。
次に真横の棚を開けたと同時にあるものが飛び出してきた。
キャビネットは全体的に乱雑に詰め込まれており、
飛び出してきたのはたくさんのクリップだった。
床にばら撒かれたクリップ。
Keiさんの机の下にまで飛び散ってるのが見えたので
それこそ床に這いつくばって必死でかき集める。
ヤバイ💦早くしないとKeiさんが戻ってきちゃう😱
こんなところ見られたくない。
人の気配がしてはっと顔をあげたら、
Keiさんがものすごく驚いた顔して立っていた。
そりゃそうだろう。
休憩から帰ってきたら、自分の席で
しゃがんでる人がいるんだから。
しかも大嫌いな人。
早い。予想よりも早く戻って来た。
これはタバコではなくただのトイレだったかも。
思わず私「す、すみません💦クリップばら撒いちゃいました💦💦💦」
Keiさん、無言。
このまま立ち去るかなと思ったら、
黙ったまま自分の席に座り出した。
でもKeiさんの足元にもまだ転がってる。
「あの…すみません💦まだ下にあります💦」
黙って足を上げるKeiさん。
ようやくクリップを回収し、棚に戻す。
Keiさんは仕事を再開するでもなく、何もせずただ座ってる。
でも横顔はものすごく怖い。
きっとこんな間近に天敵のサチがいるから
仕事どころじゃないんだろう。
(でもそんな状況でも仕事するのが社会人じゃないの?)
今から思うと、クリップをしまった時点で撤退すべきだが
このときの私は相当慌てており、
早く目的の物を見つけなきゃ💦と焦っていた。
そして、私は本来の目的物を捜索開始。
とにかく棚はめちゃくちゃに収納されており、
いつ雪崩が起きてもおかしくない状況なので
私は慎重に探していた。
だが見つからなかった。
正確には棚の奥には物があふれすぎて
魔界が広がっており、これ以上の捜索は困難だった。
Keiさんは相変わらず何をするわけでもなく
ただ座ってる。
怖い顔して固まっていた。
あぁ、相当イラついてるんだな。
このとき私はある推測が頭の中をよぎった。
もしかしてコレ、サチがオレの近くにいたくて
わざといるとか勘違ってるんじゃないの?
それでイラついてるのでは?
(今から思うと単純に嫌な奴がすぐそばにいるストレスなのだが)
違う!違う!
ちゃんと仕事に必要な探し物があって来てるの!
Sさんにココにあるよって教えてもらったんだってば!
てかキャビネットの目の前の席なんだから仕方ないじゃん!
何とかしてそれを伝えなきゃと焦った私は
よせばいいのに、この日最大の過ちを犯してしまう。
いつものようにながぁーくなってしまったので
後編へ続く。